死と超越

所見・偏見・エトセトラ

唐突に戯曲を書きたくなった

クソみたいな戯曲を書いてみた。理由は、最近モリエールとかイプセンとか安部公房の戯曲を立て続けに読んで書きたくなっちゃったから。この戯曲がクソたる所以は内容が飛びに飛びまくっていて、書いた本人ですらわからなくなっているところ。

 

第1幕

「人を心から愛することができない理由がわかった。頭が切れて知識欲のある人間が好きで、頭の悪い、知識欲のない人間が嫌いなのに、自分より頭の良い人間やそういった欲求の強い人間を見ると嫉妬に駆られて殺してしまいたくなるからなんだ。つまり僕はもう一人の僕を探していて、そんなものはこの世に存在しているわけもなく、僕は孤独のうちに死ぬのだろう。仮に存在しているとしてもそれはドッペルゲンガーだから、見つけた瞬間に消えてなくなってしまうだろう。」

「この世はカスである。誰も都合の悪い真実なんて求めていなくて、心地よい嘘とクソどうでも良いしがらみだけが日々安寧に暮らすために必要だ。そしてその心地よい嘘たちを形作る性善説性悪説なんて嘘っぱちだ。タイムマシンがあったら当時の中国の思想家を軒並み惨殺してしまいたい。流れ出る鮮血だけが真実だ。そう、必要なのは革命だ」

「なんでもいいからとりあえず可愛いものだけを消費して生きていたい。IKEAのサメとか。高校生になったときベージュの自転車を買ったのも、レンズの大きめな眼鏡に変えたのも可愛らしい存在になりたかったから。おしゃれなカフェに行って、古着屋で服を買って、クリスマスのイルミネーションを見て、普通すぎる? 普通の何がいけないの?」

拙者「(風の谷のナウシカを読んでいる)クロトワ!??!?!??!??!?!?ウワッ、ウワー―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ーっ!!!!!!!!!!ユパ???!??!?ユパ、、、、、、ユパ..........???????

ユパー―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッッッッッッッッッッx!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「うるさい死ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

(ナイフで心臓を突き刺す)

拙者「ウグッ......ほら見ろよお前の好きな血だよハハハ......。これが真実なんだろ? ほらもっと近くに来いよほら、......おいてめえ逃げんなよ臆病者が!!!!!! それで真実を語ってたのか? この大嘘つきが!!」

「黙れ黙れ黙れ黙れ!」

拙者「......」

「ウワー―――――ッ黙れと言われて本当に黙るやつがいるか!!!!!」

「なんでこの人たちはいつも真実とか嘘とか一々比べたがるのかしら?」

「この人たちはレジスタンスなんだ。もっと言うと、抵抗することに生きがいを持っているんだ。世間や自分が所属する団体が間違っていて、自分はそれをただすことができる優秀な人間だと陶酔しているのさ」

「そんなことしていたらさぞかし生きづらいでしょうね」

「そんなこともないようだよ。確かに端から見れば彼らは組織の輪を乱す面倒な奴らさ。でも当人にとってはむしろその状況こそが生きがいを与えてくれるんだ。なんだかんだ仕事はするから組織の方も見限りはしないしね」

「ふーん、なんかよくわかんないね(笑)。まあいいや。あんな奴ら放っておいて、カフェ(笑)にでも行こうよ(笑)」

「いや、カフェ(笑)とか行ったことないから、ちょっと......」

「はじめは誰もどこにも行ったことないでしょうが。ほら行くよ」

(ああダメだ。またしても僕は自発的にどこかへ行く選択ができなかった。毎回毎回僕よりも勇気ある人間にこうして手を引っ張られて連れて行かれるのだ......)

 

第2幕

「......ってここは!?」

メイドカフェ

「????????」

「だからメイドカフェ

「悪い冗談はヨシ子ちゃん」

「さっむ。中入るね」

(うさ耳を付けてバニーガール+メイドのキメラコスプレをしている)「いらっしゃいませご主人様お嬢様~!!2名様ですね?ようこそメイドの王国へ~!」

「かわいい~!!!!」

「なにやってるんですか」

「見てわからんぴょんか? バイトだぴょん。このクソみたいな世の中で暮らすためにはこのように資本主義社会に組み込まれ社会を動かす歯車として機能しなきゃいけないんだぴょん。殺すぞ」

「キモすぎる」

「どこに目が付いてるの?どこからどう見ても可愛いのイデアが現象界に顕現してるでしょ」

「お席はこちらぴょん。お料理はなにがいいぴょんかね?」

「なんでもいいです。はやくこの空間から解放してくれればそれでいいです」

「じゃあぴょんぴょんパンケ~キ二つで。」

「了解ぴょん。......あっそろそろ始まるぴょん!」

「......ということは、あれが見られるのね!」

(店内の照明が落とされ、ミラーボールが回転をはじめる。ソビエト連邦国歌が流れ始める。)

「万国の労働者諸君、万国の労働者諸君。.......万国の労働者諸君!(踊りながら)」

拙者「暴力革命! 暴力革命! うぉぉぉぉおおおお暴力革命!」

「??????」

メイドカフェなんだからメイドが歌って踊って当然でしょ?」

「でもさっきから『万国の労働者諸君』しか喋ってない......」

「にわか仕込みの共産趣味だからそれ以外の言葉をよく知らないのよ。黙って見てて」

拙者「(思いだしたかのように風の谷のナウシカを読み始める)ナウシカの胸の膨らみ、エッチだ......w クシャナーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!ごぼっごぼっ.......(気道に血液が入り絶命)」

(ミラーボールと音楽が止まる。暗転のまま)

「今ここに最後の常連客が絶命した。これが本当の冥土カフェ、なんつって。寒すぎてもはやこの店も終いだ。私がこの場にいる義理もなくなった。これが貴様らが頼んだぴょんぴょんパンケ~キだ。さようなら」

(『俺』退場。←なんか仮面ライダー電王みたいですね)

 

第3幕

「......彼らは僕にとっての何なんだろう。いつもこうして騒ぐだけ騒いで、遅くても夜にはいなくなってしまう。」

「彼らにとってもそれは同じ事じゃないかしら? 何でも自分だけが感じてるとは思わない方が良いわよ」

「でも僕は僕が感じることしか理解できないから、何でも自分本位に考えるしかできないはずだ。君は他人の気持ちを慮っているつもりなのかい?」

「このパンケーキおいし~い(笑)」

「誰もまともに取り合ってくれやしない!」

「心の、もぐもぐ、防衛機構というのは、もぐもぐ、そういうものだ。もぐもぐ。ほら君も冷えないうちに食べたまえ!」

「......(パンケーキを食べる)」

「おいしい?」

「......おいしい」

「嘘つき」

「そうだよ、甘いものは嫌いなんだ。でもみんな甘いものが好きだからそう答えてあげるんだよ。僕にはパンケーキが嫌いと言う自由があるけど、それを言わずに『なんで嫌いなの?』『美味しいのにもったいない』と返答されることを回避する自由だってあるはずじゃないか。そして大抵他人は後者を選ぶ方が喜ぶからね」

「君は本当に面倒臭いやつだね。でも喜ばない人はここに一人いるよ」

拙者(一瞬生き返る)「ナウシカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!(絶命)」

「別に自分だけが喜んだって仕方ない」

「そうやって取り繕って人から優しいと言われるのが好きなんだね」

「......そうかもしれない」

「自己愛強そう(笑)メイドカフェの店員向いてるかもよ(笑)」

(気づかぬうちにメイドカフェには月明かりが差し込んでいる。)

「月だ。もう夜か」

「今日もまたどうでも良いことばかり考えてたら一日が終わっちゃったね」

「君も行ってしまうんだろう?」

「ご名答。実は異動が決まってね、当分こっちには戻れそうにないの。帰って来たら話の続きをしましょう」

(『私』退場)

 

 

「あんなに賑やかだったのに、僕はいつも独りです」